緑の谷・赤い谷*

新潟県にかつてあった鉱山の記録と周辺の昭和の記録と・・・お散歩。(旧名「猿と熊の間に」)

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2015年07月

トッペ。元気にしていますか?。先日テレビで、かまやつひろしの「我が良き友よ」を聞いていたら、ふと君の事を思い出してしまいました。歌詞で言います、「おまえ今頃どの空の下で 俺とおんなじあの星みつめて何想う」と・・・。

農家の庭先のムシロに干してあった栗の実を、小さなポケットに詰め込んで逃げましたね。

不動橋の赤谷線の鉄橋を、度胸試しに渡りましたね。

ゴンナイと呼ばれる家の田んぼの脇に立つ柿の木から、実をもぎっている所を見つかって、鎌を持ったじいさんに追いかけられましたね。

手紙を出そうにも、同窓会名簿に君の住所は載っていなく、他の友人に聞いても分かりません。お互いの実家であった日鉄社宅はすでに無く、かつての住人は日本各地にばらばらと移り住み、かの地に寄る辺を失った身には、君を訪ねるすべがありません。

また、あれから何度目かの夏がやってきました。夏休み前の、あの何とも言えないわくわく感は、ほんのこの間まであったような気がしたのですが、気がついてみれば何時の間にか心の片隅から消えてしまっています。

トッペ。元気にしていますか?。あのまんま別れたのがつらいのです。さびしいのです。

私は年に一度くらい帰ります。荒れ果てて何も無い社宅跡から焼峰を眺めています。君も帰る事があるのでしょうか。それは桜の咲く頃でしょうか?。ワラビの出る頃でしょうか?。カジカ突きをした夏の頃でしょうか?。それとも黄色に赤に飯豊川を草木が彩る頃でしょうか?。冬は雪が大変ですから来ないでしょうね・・・。

トッペ。右の耳にあった傷あとはまだあるのでしょうか・・・。

大きな石、中くらいの石、小さな石。どれも丸くて白くてすべすべで、ほんとにそんな石たちがたくさん転がっていた。

飯豊川の上の方から、コツコツ、ガラガラ、ゴロゴロとまぁ~るくなって私の川原にやってきた。

川の水は冷たい。5分も浸かっていると、唇が青くなってくる。夏の陽を浴びて、ほどよく温まった石は、踏めば冷えた足裏にも暖かく、腹這えばお腹がぬくぬくと幸せな気持ちになってくる。

あちらの石にも、こちらの石にも、子供たちは日に焼けた背中を見せて抱きついている。時折、右の頬と左の頬をとっかえながら温もりをむさぼっている。右の手から、左の手から、左の足からも、右の足からも、しずくは流れて黒い線となり川の流れに帰っていった。

大きな石に中くらいの石に小さな石に、大きな足あと中くらいの足あと小さな足あとが点々と残っている。それもやがて夏の日射しの中で、少しずつ白い石の中に融けこんでいった。

父は子供に対して、とても厳しい人だった。幼い頃住んでいた東赤谷の日鉄社宅時代を思い出してみても、父の笑顔になかなか出会う事が出来ない。

それがどうだ・・・この写真の父は・・・。お祭り気分で大いに笑っているではないか。

俺は知らんぞ。この時代(おそらく昭和30年代後半と思うが)こんなに笑っている父は・・・。

場所は幼稚園広場なり。子供神輿も終わり、たくさんに子供達を喜ばせた後の打ち上げ記念撮影と言った所か。

揃いの法被なんか着ちゃって・・・。後ろに日鉄鉱業のマークがついた神輿がある所を見ると、どうやらみんなで担いだ後なんだろうな・・・。知らないなぁ・・・記憶に無いなぁ・・・こんな父は・・・。

そろそろ祭りが盛んになる季節です。日鉄赤谷鉱業所社宅の祭りは秋に入ってからでした。大人も子供も、それはそれは楽しいお祭りの日々でした。

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提供:菊池さん。

かつて菓子パンは、その形で何のパンか直ぐに分かったものである。丸い形はアンパン、野球グローブの形はクリームパン、指の無いミットのような形のパンはジャムパン、チョコレートは渦巻きのコロネと決まっていて、パン屋に行って選ぶ時には一目でそれと分かったものである。

私は日頃まま優柔不断な所があって、それが大いに発揮されてしまうのがパン屋である。トレーとトングを持って、とにかく店内を行ったり来たりウロウロとしてしまう。「えい!ままよ!」と選んで買った後からでも、やっぱりあっちの方が美味しそうだったなと思う始末である。私はパン屋ほど優柔不断な人間を困らす店は無いと思っている。

昔は、そんな人間にはとても便利なパンがあった。三色パンと言った。小さめの丸いパンが三つ繋ぎ合わさって三角状の形をしたパンで、アンコ・クリーム・ジャム・チョコレートのいずれかが、その内に収まっていた。

そのどの位置に、どの味が収まっているのか分からない。今日の自分は「クリームが一番の気持ちなのだ!」と念じてかじってみると、それはアンコだったりして、その多少のガッカリさも、それはそれで楽しいものであった。

現在、パン屋さんに行っても三色パンにはまずお目にかからない。棚には数多くのおいしそうなパンが並んでいる。その隅っこの方で遠慮しがちに昔の姿のままで置かれているのがアンパン・クリームパンで、たまにチョココロネが見れて、ジャムパンに至っては殆ど見る事が無くなった。

消えてしまったのは、人々のお口が肥えてしまったからでしょうかねぇ。パン大好きな私は、明日からもトレーとトングを持って店内をウロウロとし、パン一つ一つの説明と名前を確認し、会計しながらも「やっぱりあっちのパンが良かったなぁ」などと、自分の優柔不断さに嫌気がさしながら買ったパンをかじっていくのだろうなぁ。

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