その男の名前は伴くんと言った。
同じ社会人山岳会に所属していたのだが、ある日会社も山岳会も辞めてぷっつりと消息が途絶えた。
それから2・3年か経った頃と思うが、同じ会の後輩が北八ヶ岳の麦草ヒュッテで彼が小屋番をしていると教えてくれた。たまたま偶然にも山荘に寄ったら居たと言う。
豪快さと優しさを持った彼は、誰からも親しまれる存在であった。
昭和4?年、その年の冬山合宿の地は北八ヶ岳に決まった。
●麦草ヒュッテと縞枯山
●樹氷群
●冷山から天狗岳
●伴くんとチビブス(彼はそう呼んでいた。冬を越す唯一の相棒である。)
●北八ヶ岳残照
そしてこの後、いつしか彼の消息はぷっつり途絶えた。以来半世紀近くの時を経ても、私の中であの笑顔がくすむ事はな